試合が終わって帰国すると、翔から高級ホテルのレストランにデートに誘われた。
私には慣れない場所だから、緊張が止まらない。食前酒にシャンパンが運ばれて来て、私たちは乾杯した。
「絵理、俺と結婚して」
「えっ」
「ずっと一緒に居たいんだ。たから結婚しよう」
そう言って翔はポケットから小さな箱を出した。もしかして婚約指輪。大事な話って……プロポーズだったんだ。私はその箱を受け取り返事をした。
「はい」
「良かった。断られたらどうしようかと思ったよ。まぁ、1回断られたくらいで諦めるつもりも無かったけど」
「断る訳ないじゃん。もしかしてプロポーズのために、此処を予約したの?」
「まぁな。女はこういう所でのプロポーズに憧れるだろ。俺はサプライズとか苦手だからストレートにしたけどさ」
「そっか、翔にも苦手なことはあるんだね」
「それから、今夜は此処に泊まるから。寝かすつもりないから覚悟しておけよ」
「もう、何言い出すのよ。恥ずかしいよ」
翔の言葉に私の顔は熱くなるのだった。食事を終えて、エレベーターで向かった先は最上階のスイートルームだった。
「絵理……お風呂一緒に入ろうぜ」
「えっ 一緒に?」
「昔も一緒に入ったことあるんだから、今さら恥ずかしがること無いだろ」
「昔と今は違うでしょ。でも恥ずかしいけど、私も一緒に入りたい気持ちはあるよ」
「なら問題無いじゃん」