やがて翔の唇は、私の唇から首筋・鎖骨へと移動していく。
「絵理……ベッドで充電させて」
「……うん、いいよ。私も同じ気持ちだから」
この夜、私たちはお互いに力尽きるまで求め合った。そして翌日には合宿のため、翔は異国の地へ旅立った。
私は仕事が忙しくても、日本代表の情報をニュースやネットで必ずチェックしていた。
翔が言ってた大事な話の内容が気になっているが、別れ話だけは違うと確信している。
そして、ついに試合の日を迎えた。時差のため、日本での生中継は早朝4時からだけど、私は早起きをして試合を観戦した。なかなかゴールネットを揺らせず、試合は時間だけが過ぎ、スコアレスドローで終了かと思った瞬間だった。
相手の反則により日本にPKが与えられると、ボールの前に立った人物は翔だった……翔が蹴るんだ。審判のホイッスルが鳴り、翔がボールを蹴るとゴールネットを揺らした。
翔なら決めてくれると信じていたけど、ゴールが決まると本当に嬉しかった。翔がPKを決めて1分も経たない内に試合は終了した。