翔と半同棲生活に幸せな日々を送っていたある日のこと。会社の帰り道、首輪をしていない怪我をした犬がトボトボ歩いていた。
見て見ぬふりを出来なかった私は、その犬を自宅近くの動物病院へ連れて行った。その犬は人に慣れているみたいで、私はすぐになつかれてしまった。
怪我は大したことなかったみたいで、すぐに元気になった。飼い主が見つからなかったから、私はこの犬を引き取ることにした。名前はありきたりだけど『ポチ』と名付けた。
翔が日本代表に選出され、合宿と国際試合があるためこれから暫くは会えない日々が続くけど……『ポチ』がいるから寂しくは無い。
「試合が終わって帰国さたら、絵理に大事な話がある」
「大事な話?」
「ポチ……俺が居ない間、絵理を守ってくれよ」
「わん」
ポチは翔の言葉が分かるかのように、元気に吠えた。
「たとえ数日とはいえ、絵理の側を離れるのは寂しい」
「うん、私も……同じ気持ちだよ。テレビの前で翔の活躍する姿を応援するから頑張ってね」
恥ずかしながらも、私は自分から翔にキスをした。
「足りねえな」
そう言って、翔は更に深い口付けをしてきた。