私は自分の気持ちに気付いて、翔と付き合うことにした事を春香に報告した。

「絵理25歳の誕生日おめでとう。最高のプレゼントをゲットしたじゃん。絶対に翔くんを離しちゃ駄目だよ」

「うん、分かってる」

「絶対に幸せになりなよ」

「もちろん」

 渉と別れた時は、もう恋なんて出来ないかもって思ったこともあった。でも恋って、何がキッカケで始まるか分からない。

 だから、楽しくもあるのかもしれない。翔と付き合い始めてから、お互いの部屋を毎日行き来している。
 そんなある日、突然……思いもしない人物が私の部屋を訪ねて来た。

「えっ?渉……今さら何しに来たのよ」

「忘れ物を届けに来ただけだから。そんなに怒るなって」

 渉に渡された物は……渉から貰った『オルゴール』だった。

「捨てても良かったのに」

「いや……これは絵理に持ってて欲しかったから。要らないなら絵理が処分して。もしかして、絵理にも新しい彼氏出来た?」

「まぁね。でも何で……そんなこと聞くの」

「俺が言える立場にないけど、絵理に幸せになってほしいから。急に来て悪かった」

「うん、ありがとう」

 渉は、それだけ言うと帰って行った。