父さんから、大事な話……。
どうせ、勉強とか学校の話だろうな。
先日学校や塾を休んだことが知られたか。
塾も、そういえばもともとは父さんの知り合いがやっているところだったか。休んだことでなにか連絡がいったのかもしれない。
叱られるだろうな。すごい剣幕で怒鳴るのが想像つく。
だけど、なにを言われても自分の行動を後悔なんてしていない。
あの日学校をサボっていなければ依とあの場所で会えなかった。
昨日も塾を休んでいなければ、チヨさんとも会えなかった。
大切なものがあるというのは、心強い。
今日も制服の内ポケットに、依のかけらが入った巾着を忍ばせて、僕は学校へ向かう準備を始めた。
学校へ行くと、廊下で会った担任に呼び止められた。
そしてそのまま職員室へ連れられ、担任のデスク脇で手渡されたのは一枚の紙だった。
「これ、この前の中間テストの結果だ」
中間テスト……そういえば、先週までテスト期間だったな。
ぼんやりとするばかりで集中などできず、テストに対する手応えはこれまでで一番感じられなかった。
その感覚は数字にもはっきりと現れており、受け取ったその紙には、これまで見たことのないような点数が記載されている。
順位も23位という、いつもなら最低でも5位以内には入っている僕にとってはありえないような成績だった。
自分の行いに対して妥当な結果にがっかりすることもなく、当然だと受け入れる。