目を覚ますと、そこは今日も変わらない朝を迎えた自室。
ゆっくりと起きてベッドから降りると、音を立てぬように机の引き出しを開ける。
そこから取り出したのは、ビリビリで破られたのをテープでツギハギしたノート。
それを手にして開こうとした。けれど、やめてまたしまいこむ。
そっと引き出しを閉めたそのタイミングで、コンコンと部屋のドアがノックされた。
「はい」
「洸太さん、おはようございます。嶺です」
顔を現したのは、今日は水色のエプロンを身につけた嶺さんだ。
「嶺さん。おはようございます」
「起きてらっしゃいましたか。珍しく遅いのでまだ寝てらっしゃるのかと」
その言葉に時計を見ると、確かにいつもより20分ほど遅い時間だったことに気づいた。
気にして起こしにきてくれたのだろう。
「父さんは」
「先に出られましたよ。あと、洸太さんに『夜に大事な話があるから寄り道せずに帰るように』と」
それだけ伝えて、嶺さんは先に一階へと降りていく。