それから、チヨさんの家を出る頃には辺りはすっかり暗くなっていた。

自宅までの道を歩く僕の両手には、野菜やお菓子、ジュースがいっぱい詰まった袋が持たされている。



「大量だね!」

「おかげさまでな……」



あれから話を聞きつけたご近所さんたちが続々と集まり、あれもこれもと持たされた結果この大荷物だ。

けれど依との思い出話を聞かせてくれる人もいて、僕の知らなかった依をまたひとつ知ることができた。



「けど、なんの接点もなかった人とあそこまで仲良くなれるのはさすが依だな」

「でしょー?私コミュ力だけは自信あるもん!」

「それが少しでも学力につながればな……」

「いいの!世の中には勉強より大事なものもあるの!」



もっともらしい言い方をして笑うと、依は少し悲しげに目を細めた。



「私おばあちゃんっ子でさ、でも中学あがるときに死んじゃったんだ。もっと話したかったとか、もっとこうしてあげたかったとか、亡くしてからいっぱい後悔した」

「そうだったのか」

「だからチヨさんとは、後悔しないように過ごしたいって思ってたんだけど。結局自分が死んじゃってからも、もっとこうすればよかったって後悔が出て来ちゃうんだよね」



どんなに精いぱい日々を過ごしても、それでもやっぱり後悔は残る。

きっと、誰でもそうだと思う。