程なくしてふと目を覚ますと、そこに依はいなかった。



依が現れたことや思い残しを託されたこと、それらは全て夢だった?

一瞬そう思うけれど、僕はやはり濡れているし、依の声が確かに耳に残っている。



『また明日、ね』



もう二度と聞けないと思っていたその言葉をまた聞ける日がくるなんて。不思議な気持ちだ。



そうだな、大切な人には笑っててほしい。

それは僕も同じだ。



依が笑ってくれるなら、CDだって届けるし、知らない人とも話せてしまう。

渋々だけどプリクラも撮るし、思い出を大切にしておく。



きみが死んで、45日。

残された思い残しはあと4つ。



カバンの中の少しだけ濡れた生徒手帳。

その一番後ろのページには、あの日依と撮ったプリクラが一枚貼ってあるのは、僕だけの秘密だ。