「洸太?眠い?」
「少し……昨日あんまり寝られなかったし、慣れないことして、疲れた……」
「あはは、そうだよね。あの人見知りの洸太が、知らない場所で知らない人と話したんだもん、疲れちゃったよね!」
けらけらと笑う依の声が、にぎやかでうるさいと思うと同時にどこか心地よさを感じさせる。
「でも、洸太が私のことわかってくれてて、嬉しかったな」
「……僕は、ちゃんと依のこと分かれてたか?」
「うん。洸太が言ってたとおり、私るみちゃんのこと恨んだことなんてないよ。だって、友達が傷つくなら、自分が傷つく方がよっぽどいい。大切な人には、笑っててほしいもん」
その声を聞きながら、重い瞼で隣の依を見る。
目を細めて微笑む表情は愛らしく、この胸にあたたかさを覚えさせた。
「ありがとね、洸太。また明日、ね」
その柔らかな声を耳に残して、眠気に負けて目を閉じる。