「1点で3500円になります」



店員の声に3500円をちょうど払いながら、食事代や参考書代以外のことにお金を使うのは久しぶりだと思った。



……というか、男子高校生がひとりで男性アイドルのCDを買うってどう思われているのか。

いや、そういう人も世の中にはいるのだろうけれど。

自分の人生にこんなシーンがあるとは思わず、恥ずかしくなってきた僕は会計を終え足早に店を出た。



「買えたぞ」

「ありがと、洸太」



依はふふっと笑ってお礼を言うと、CDショップのすぐ目の前にあるゲームセンターへなにげなく目を向けた。



「ね、洸太。一回だけふたりでプリクラ撮ったの覚えてる?」



依が見る方向には、プリクラの機械が数台並んでいる。それに僕も目を向けて頷く。



「あぁ。依に連れられて半ば無理矢理な」

「えー?洸太もノリノリでピースしてたじゃん」

「一枚もしてない」



しれっと嘘をつかないでほしい。

僕だって、あの日のことをちゃんと覚えてる。