私は駅ビル内にあるATMに寄り、通帳の残高を確認した。

依頼者がちゃんとした人なら、残高が増えてるはずだ。

「えー、こんなもん?」

機械から出てきた通帳の残高は、CD一枚が帰る程度の金額しか増えてなかった。

自分をフッたギャル女を殺して欲しいっていう私情まみれの依頼だったけど……予想よりかなり下回ってる。

本当なら今回の報酬で豪華にパフェでも食べようと思ってたんだけど……

うーん、仕方ない。帰りにフラペチーノでも買って帰ろっかな。

「兎姫(とき)!」

ドキンと心臓が飛び跳ねた。

「い、依弦(いづる)じゃん、どしたの?」

不意を付かれたな。仕事じゃないから完全に気を抜いてた。

「見かけたから声かけただけ」