気持ちの整理が全くつかないままお昼休みも終え、午後2時を過ぎた頃だった。着信音をしぼったスマホがキーボードの脇で小さく鳴り出した。
手帳型のスマホケースのふたを開き画面を見やる。知らない携帯番号。心臓がどくんと大きく波打った。もしかしてナオさん・・・?! タップする指が知らず震えた。
「・・・はい、新宮です」
声も少し上擦りながら席を立って給湯室のほうに移動する。社長と郁子さんは雑談中だ。
『午前中に吉見クリニックで診療した井上ですが、突然すみません。・・・吉見のことで話があるんですが、今いいですか』
淡々とした喋り方と声は覚えている。井上医師に間違いなかった。
「ナオさんのこと、何か知ってらっしゃるんですか・・・っっ」
はっとして自分の口を手で塞ぐ。二人に聞かれただろうか。声を押し殺す。
「何でもいいんです、教えてください・・・! ナオさんはどこにいるんです?! ずっと連絡が取れないんですっ、クリニックは辞めたんですか?!」
自分にとって絶望でしかない答えを聞かされようと、分からないまま生殺しにされてるよりマシだった。
目の前に垂らされた細い一本の蜘蛛の糸に、わたしは必死に縋りつく。
手帳型のスマホケースのふたを開き画面を見やる。知らない携帯番号。心臓がどくんと大きく波打った。もしかしてナオさん・・・?! タップする指が知らず震えた。
「・・・はい、新宮です」
声も少し上擦りながら席を立って給湯室のほうに移動する。社長と郁子さんは雑談中だ。
『午前中に吉見クリニックで診療した井上ですが、突然すみません。・・・吉見のことで話があるんですが、今いいですか』
淡々とした喋り方と声は覚えている。井上医師に間違いなかった。
「ナオさんのこと、何か知ってらっしゃるんですか・・・っっ」
はっとして自分の口を手で塞ぐ。二人に聞かれただろうか。声を押し殺す。
「何でもいいんです、教えてください・・・! ナオさんはどこにいるんです?! ずっと連絡が取れないんですっ、クリニックは辞めたんですか?!」
自分にとって絶望でしかない答えを聞かされようと、分からないまま生殺しにされてるよりマシだった。
目の前に垂らされた細い一本の蜘蛛の糸に、わたしは必死に縋りつく。