これと言って実感もないまま年の瀬を迎え、お正月休みは、気の好いダンナさんと愛娘の三人で幸せに暮らしてる、妹の家に遊びに行ったくらい。

実家には顔は出さなかった。向こうからも何も言ってこなかった。・・・いつものこと。
結婚も離婚もほぼ事後承諾みたいに決めてしまった上の娘を、特に母はすっかり『他人』扱いだ。腫れ物どころか、化け物だと思ってるに違いない。

『・・・本当に昔っから、なにを考えてるのかちっとも分からないわ』

苦々しげに溜息を吐いた苦悩の表情は。まるで自分は、愛情をきちんと注いで誰にも恥ずかしくないよう育てたのに、・・・とでも言っているかのようだった。

世間体と自分の保身と、見栄とプライドだけの、ハリボテの母親(アナタ)には言われたくなかったけど。


自分の子供を、出来のいい作品と、そうでない作品に分別するような親になりたくなくて。結婚したときも、すぐに子供を欲しがれなかった。

別れた夫は、自分の親に早く孫を抱かせたかったのだ。違う人との間に、それを望むほど。


ハリボテから生まれたわたしも、中身はガランドウだったんだと。
離婚届を突きつけられて思った。



最初から欠陥品だから。
もっと簡単に壊れるはずなのに。

人間て、しぶとい。