いい?・・・って。ぼんやりナオさんを見つめてる。どうしてそんなにわたしを愛そうとしてくれるの・・・?

そう思った瞬間。鼻の奥がつんとなって目頭が熱く潤む。

わたしは何も持ってないのに。
ナオさんに何をあげられるかも分からないのに。

本当はずっと誰かにそんな風に言って欲しかったって思ったの。
一緒に笑って欲しかったって、怒って欲しかったって、味方になって欲しかったって。埋めて欲しかった、満たして欲しかったって。

子供みたいに欲しがる自分に気付いた。気付いて惨めに思えた。

「ッ・・・っっ」

どうしてか、乾いてひび割れた傷口に染みた。奥の奥で何が悲鳴を上げてるのか自分でも分からなかった。

身を捩ってナオさんから逃れようとしたのに、離してもらえない。
腕の中にぎゅっと閉じ込められ、押し返そうとしてもびくともしない。

「泣くときは俺の胸で泣いて、沙喜。一人で泣かないこと、・・・いい?」

最後のそれだけ、強かに命令されて優しい拘束を解いてはくれなかった・・・。