耳の奥に、『立場』『無駄』・・・そんな言葉がざらついた感触で残ったまま。
簡単に夕飯を済ませるまで、置いていかれた封筒はベッド脇のカフェテーブルの上。

見てしまったら無かったことにはできない。
明日にでもナオさんに連絡して、どうするかを委ねるべきだろうか。迷う。

彼女がここまで来た理由を。・・・こういう言い方で受け止めるのが正解かは分からないけど、ひとり対ひとりの『女として』挑まれたのなら。応えないのは卑怯に思えて。

ベッドに座りこみ、窪田リーガルオフィス、と事務所名が印刷された封筒をじっと見据えた。

ナオさんを受け容れた時からわたしも共犯だ。
どんな制裁を下されても文句は言えない。
もし両親が知ったら、あっさり見放されて絶縁されるんだろう。『あなたなんか娘でもなんでもない』って。

最後には。ナオさんすら、この手に残らないかもしれない。
ずい分とわたしらしい結末。

なんにも無くなったら。もっと自由になれるの?
笑ってサヨナラって。言えるぐらいに。




息を吐いて。
わたしはそれに、手を伸ばした。