「いつ・・・って言えなくてごめん。でも、俺の残りの人生はぜんぶ、沙喜にもらってほしい。人生の最期は沙喜に見守られながら笑って逝きたい。今の自分をきちんと終わらせられるまで、・・・待っててくれないか」

そう言うと。
ナオさんは、わたしの左手を取り。薬指の付け根にそっと口付けた。

淡い微笑みを浮かべ。わたしを見つめる。

ロマンティック。なんて綺麗事で受け止めるにはずっと切実で。単純なプロポーズじゃないことは分かってた。
叶うかも不確かな。あるいは。奈落の底に独りで堕ちる羽目になるかもしれない。


そんな壊され方でもいい。


わたしをただひたすらに愛し抜いてくれるなら。




“掛け金”をゆっくりと外してく。
扉を開く。

「・・・わたしの人生もぜんぶ、ナオさんにあげるわ」