子供を欲しがれなくて、捨てられたわたしと。
そうしたくても出来なくて、捨てられたあなた。

きっと運命のイタズラで手繰り寄せられたの。
同じ傷のにおいに惹かれ合ったの。

愛してって。怖くて言えなかった、わたしなら。
なにもかも諦めて。
なにも望んだりしないで。
生きてるフリで、息の根が止まる日をただ待って。


先生は。
なにを賭けたの?
なにを変えたいの?
わたしも壊してくれるの?



「・・・先生が言うなら、もう逢わない」

マイナスとマイナス。
プラスに変わるのか、底に落ちるのか。

「抱かなくていいからそばにいて・・・」

「ッ・・・沙喜・・・っっ」

回された腕に、本当に息が止まるんじゃないかってくらいの強さが籠もる。
低くくぐもった小さな呻き。・・・嗚咽。

張り詰めていたものが切れたように。
先生は苦しげに、何度もわたしの名前を呼んだ。