答えは難しくないだろうと勝手に思い込んでいた。
『会うな』か、『沙喜が決めて』。
命令か、反対にわたしを試す。
『どっちでもいい』なら問題外。

でも先生は。じっとマグカップに視線を落としたまま、沈黙していた。

小賢しい女だと不愉快になった?
こんな女だったのかと、期待を裏切られて失望した?

わたしは裁定を待って、彼の横顔を見つめる。
すべては先生次第です。


数分経ったのか、もっと長かったのか。
深く息を吐いた気配。そして。

「・・・・・・沙喜。俺はね」

やっとこっちを向いた眼差しに、哀しみ・・・に似た烈情を閉じ込め。先生はわずかに口角を上げる。

「沙喜を抱いてやれないんだよ、機能障害で」