「吉見が出会ったのが新宮さんで良かった」

帰りの車の中で三ツ谷さんが言った。
助手席から視線を向ける。前を見据えハンドルを操作したまま続いた。

「あいつと一緒に生きてくれる決断をしてくれてありがとう」

きっと今は弁護士としてでなく、永い友人としての立場で伝えてくれてるんだろう。硬さの抜けた話し方にじっと耳を傾ける。

「吉見とは一年足らずの付き合いだって聞いてたから、正直に半分は期待してませんでした。新宮さんを見くびっててすみません」

「・・・いえ、そんな」

「そこまであいつに尽くせる理由を聞いても?」

三ツ谷さんは淡々と訊ねたけど。真っ芯を射貫かれたような。わたしは言葉を探しながらおもむろに口を開いた。