最後は頭の後ろをやんわり捕まえられて抱き寄せられる。布団越し、ナオさんのお腹の上あたりに顔を埋めるみたいになって、そのままずっと髪を撫でてもらった。言葉じゃなく温もりで伝え合い。三ツ谷さんが戻るまで片時も離れなかった。
「明日また来ていい?」
本当は連休じゃないけど、事情を話せば郁子さんなら快く休ませてくれる確信もあった。年末が近いから不動産はほとんど動かない。毎年この時期は大掃除に取りかかるくらいなものだった。
「ん。待ってる」
優しく笑ったナオさんの手を離すのが名残惜しくてしょうがなかった。でも。明日を約束できる。こんな些細なことが幸せなのだ。
今は。誰に憚ることもない普通の恋人同士。
未来を遮る、壁も河もない。
それをやっと実感しながら病院を後にした。
「明日また来ていい?」
本当は連休じゃないけど、事情を話せば郁子さんなら快く休ませてくれる確信もあった。年末が近いから不動産はほとんど動かない。毎年この時期は大掃除に取りかかるくらいなものだった。
「ん。待ってる」
優しく笑ったナオさんの手を離すのが名残惜しくてしょうがなかった。でも。明日を約束できる。こんな些細なことが幸せなのだ。
今は。誰に憚ることもない普通の恋人同士。
未来を遮る、壁も河もない。
それをやっと実感しながら病院を後にした。