わたし達はずっと片手を握ったまま、会話が途切れるとただ見つめ合った。お互いに黙って指先に力を込め。

「今日はクリスマスイブなんだね・・・」

窓の外に眼差しを投げ、不意に彼が呟く。
わたしに何もしてやれないと悲しい顔をさせそうで先回りした。

「じゃあ今夜は靴下を枕元に置いて寝てね?サンタクロースが明日くるから」

悪戯気味に小さく笑い、きゅっと手を握り返す。

「わたしへのプレゼントは煙突に入らなかったみたいで、トナカイさんがここに連れてきてくれたわ」

「ベッドにリボンでもかけておけば良かったな」

意味を汲んでくれた微笑みが返った束の間。

「愛してるよ沙喜。・・・愛してる」

繰り返しながら肩を震わせ。あなたは堪えきれなくなったように(むせ)び泣いた。