離婚の成立と彼の事故に、なにか関係があるのかもしれないとふと思った。

嘘を吐かれてるとか誤魔化された感触じゃない。知らなくていい事実があるというなら、詮索するつもりもない。わたしは自分からそういう線引きができる人間だ。・・・良くも悪くも。

「分かったわ。・・・わたしにして欲しいことって、ある?」

言葉通り受け取ったふりで小さく笑む。するとナオさんが悪戯気味に笑い返す。

「会いに来てくれるだけで元気になれるよ。あ・・・そうだ、ドライシャンプーの買い置きが欲しいんだ、こんど来るとき頼める?んーあとは、沙喜の手料理が食べたいな」

心配をかけないようにわざと甘えたのか。どこまでも優しいあなた。

できるなら毎日でも通いたい。でもこの病院は自分のマンションからそれなりに遠い。・・・引っ越す?でも、いずれ退院したら一緒に暮らすための家と車も必要。

駐車場付きでバリアフリーに改築された中古戸建て。家探しは不動産屋の領分。郁子さんにも相談して物件を探してみよう。

ここから先は愛でしか、決して進めない。今わかるのは・・・それだけ。