「俺に言われるのが嫌なら思い切れ。お前らしくない」

お互いに言いたいことを言い合える関係なんだろう。あくまで淡々としている三ツ谷さんはそれでも、ナオさんの背中を力強く押してあげているんだと伝わってくる。

「私は一階(した)のカフェにいます。一時間後に戻りますからそれまでゆっくり話をどうぞ」

ビジネストークで言った彼が席を立ち、病室を出て行った。

「三ツ谷さんて好い人」

イスに座り直したわたしが細く笑いかけると、さっきよりも吹っ切れたような表情で息を吐いて。

「高校の時からの親友だからね。・・・あいつには本当に感謝してる。この恩は少しずつでも返してくつもりだよ」

「二人でなら、おじいちゃんおばあちゃんになる前には返せるわ」

「・・・そうだな」

揺らぎの消えた眸が静かにこっちを見つめる。