わたしが知ってるあなたなら。言うだろうと思っていた。
見つめ返して、手を握っている指にぎゅっと力を込めた。

「・・・他にもあるでしょう、言いたいこと。全部聞くから言ってナオさん。本当はわたしにどうして欲しいか、ちゃんと言って・・・!」

そこで初めてナオさんの顔が歪んだ。なにかを堪えるように辛そうに目を伏せた。

いつも真っ直ぐわたしに手を差し伸べてくれた人が自分でその腕を押さえ込み、望むことを諦めようとしていた。

わたしの手は、母にも別れた夫にも届かなかった。伸ばしたのに届かなかった。でもナオさん、ナオさんの手は届くの。わたしから伸ばして待ってるの。だから。

「愛してるならただ信じてくれればいいの・・・っ、お願いナオさんっ」

あなたは諦めないで。
生きることも。
その意味も。