* * *
目覚めると、いつもと変わらない天井が目に飛び込んできた。鳴り響く目覚まし時計が僕の意識を覚醒させてゆく。
「うわ!」
布団を跳ね除け、飛び起きる。
「……なんだ?」
寝ぼけ眼まなこで辺りを見渡すが、どこを見ても異常はない。いつもと変わらない自室だった。
「夢か……」
僕の体はびっしょりと濡れ、冷えきっていた。
「なんて夢だ……」
現実を把握し、僕は安堵にも似た息を吐き出した。頭の覚醒を促うながすために、髪の毛を掻き乱す。
正直、混乱していた。ありえないと分かっていながらも、言いようのない不安が押し寄せる。
「……顏洗おう」
僕は眠気を覚ますため、洗面所へと向かった。病魔は足音も立てずに僕へと忍び寄っていた。その事実に、僕は気がつかない。