《8日目》
いつも通り屋上に行くと、國充は既にいた
コンクリートの上に座ってグラウンドを見ている様子だった
「なにかあるの?」
「……」
無反応かよ
少しイラッときつつも國充に近寄ってみると耳に白いヘッドホンをつけてた
音楽聴いてるのか
私は邪魔するように國充がつけていたヘッドホンをガサッと外した
彼は驚いてこちらをみる
「なんだ奈穂か、びっくりした
少しは声かけろよな」
「声かけたし」
「え、まじ?
全然気づかなかった!」
「音楽聴いてたんじゃないの?」
「あ、そーだったわ」
え、そこ忘れるところかよ
ほんと、変なやつ
なんだかおかしくって、ふっと笑ってしまった
「音楽聞くんだね」
「まあな、せっかくヘッドホン買ったし、使ってみたくなった」
「ヘッドホンっていいの?」
「なんかそれっぽい感じがでる」
「なにそれ」
理由がおかしすぎでしょ
「奈穂はイヤホン派?」
私は頷いた
大体の人はイヤホンだと思う
携帯を買う時に付いてくる付属のイヤホンで充分事足りるから
「耳に入れるのに抵抗ないんだな」
「慣れるよ」
「俺は無理だったなぁ」
なんだ、ちゃんとヘッドホンの理由あるんじゃん
「奈穂も音楽聴くの?」
「まあ、それなりに」
「ジャンルは?」
「…邦ロック」
「まじか」
最後の「まじか」ってなに?
女子だって邦ロック聞く時代ですよ
今はイケメンが多いから聴く人も多いんですよ
「聴いちゃ悪いの?」
「そんなことねーよ
ただ、もうちょっと落ち着いた曲聴いてんのかと勝手にイメージしてただけ」
私って、そんなイメージがあったのか
そんなに落ち着いている性格でもないはず…
「でも、邦ロックは歌詞が直球なのが多いのがいいよな、自分と同じ気持ち歌ってたりするから」
私は頷いた
國充の言う通りだ
回りくどい歌詞の歌よりも直球な歌詞の歌を聞くのが好きだ
同じ気持ちなんだって仲間ができる気分になるから
「じゃあ奈穂、この新曲、知ってる?」
國充にそう言われてヘッドホンを渡されたので、そのまま頭に着けた
流れてきた曲は、今話題のロックバンドの新曲だった
サビだけ聞いたことあったけれど、フルで聞くのは初めてだった
バラード調のメロディーラインに乗せられている歌詞は、切ない恋のうただった
聴き終わった私は、ヘッドホンを頭から外して、國充に返した
「すごいいい曲じゃないか?」
「うん、でも切ないね」
「そうか?
俺には未来に向かって頑張りたいからこの曲作って元カノにさよなら告げたのかなって思ったけどな」
やっぱり、國充はおもしろい
私はただの切ない恋の歌、だけだと思っていたのに、全然違う感想を國充はもってくる
私に新しい感覚をもたらしてくれる
きっと、國充の世界は明るい
彼の考えはいつも明るい方向にあるから
そう思っていた
いつも通り屋上に行くと、國充は既にいた
コンクリートの上に座ってグラウンドを見ている様子だった
「なにかあるの?」
「……」
無反応かよ
少しイラッときつつも國充に近寄ってみると耳に白いヘッドホンをつけてた
音楽聴いてるのか
私は邪魔するように國充がつけていたヘッドホンをガサッと外した
彼は驚いてこちらをみる
「なんだ奈穂か、びっくりした
少しは声かけろよな」
「声かけたし」
「え、まじ?
全然気づかなかった!」
「音楽聴いてたんじゃないの?」
「あ、そーだったわ」
え、そこ忘れるところかよ
ほんと、変なやつ
なんだかおかしくって、ふっと笑ってしまった
「音楽聞くんだね」
「まあな、せっかくヘッドホン買ったし、使ってみたくなった」
「ヘッドホンっていいの?」
「なんかそれっぽい感じがでる」
「なにそれ」
理由がおかしすぎでしょ
「奈穂はイヤホン派?」
私は頷いた
大体の人はイヤホンだと思う
携帯を買う時に付いてくる付属のイヤホンで充分事足りるから
「耳に入れるのに抵抗ないんだな」
「慣れるよ」
「俺は無理だったなぁ」
なんだ、ちゃんとヘッドホンの理由あるんじゃん
「奈穂も音楽聴くの?」
「まあ、それなりに」
「ジャンルは?」
「…邦ロック」
「まじか」
最後の「まじか」ってなに?
女子だって邦ロック聞く時代ですよ
今はイケメンが多いから聴く人も多いんですよ
「聴いちゃ悪いの?」
「そんなことねーよ
ただ、もうちょっと落ち着いた曲聴いてんのかと勝手にイメージしてただけ」
私って、そんなイメージがあったのか
そんなに落ち着いている性格でもないはず…
「でも、邦ロックは歌詞が直球なのが多いのがいいよな、自分と同じ気持ち歌ってたりするから」
私は頷いた
國充の言う通りだ
回りくどい歌詞の歌よりも直球な歌詞の歌を聞くのが好きだ
同じ気持ちなんだって仲間ができる気分になるから
「じゃあ奈穂、この新曲、知ってる?」
國充にそう言われてヘッドホンを渡されたので、そのまま頭に着けた
流れてきた曲は、今話題のロックバンドの新曲だった
サビだけ聞いたことあったけれど、フルで聞くのは初めてだった
バラード調のメロディーラインに乗せられている歌詞は、切ない恋のうただった
聴き終わった私は、ヘッドホンを頭から外して、國充に返した
「すごいいい曲じゃないか?」
「うん、でも切ないね」
「そうか?
俺には未来に向かって頑張りたいからこの曲作って元カノにさよなら告げたのかなって思ったけどな」
やっぱり、國充はおもしろい
私はただの切ない恋の歌、だけだと思っていたのに、全然違う感想を國充はもってくる
私に新しい感覚をもたらしてくれる
きっと、國充の世界は明るい
彼の考えはいつも明るい方向にあるから
そう思っていた