《4日目》

カシャッという効果音が私に向けてやってくる
私は怪訝な顔をしてそちらを向いた

スマートフォンを私に向けてる本人は、とても楽しそうだ

「顔怖いから、笑ってー」

は?笑えるわけないでしょ

「てかなんで今カメラ?」


「今のスマホのカメラって凄いんだな
雑誌で見た!」


また雑誌か


「盛れるって言うんだっけ?
自分の顔がプラクリみたいに変身するんだろ?」


「プリクラな」


「なにそれ?」


國充ってもしかして現代知らない人?


「プリント倶楽部略してプリクラ。
しかもそのアプリだけじゃなくって他にもたくさんあるから」


「えっ!どんなのがあるの?」


そう言って彼は目を光らせる

本当に知らないんだなぁ


「たとえばこれとか
顔が交換されちゃったり、これは動物の耳とかついたり…

まあ盛れるといったらやっぱりこれかな」


そう言って私は勝手に彼のアプリストアを操作して何個かカメラアプリを入れた



「なんでそんな詳しいの?」


「JKが教室で生き残るためよ」


除外されていることを知っている私は、せめて虐められないように最低限の知識を持って、会話を合わせられるようにしている


「やっぱりJKってこえーんだな」


「何言ってんの、DKもなかなかじゃん」


「え、なにそれドン○ーコ○グ?」


「違うよ、男子高校生だから略してDKでしょ」

逆にそっちでてきたのすごいわ

「JKってそんな略語まで使い慣らさないといけないの?」


「まあ何個かそりゃあるけど、でもそーでもないよ」


「ふーん
やっぱり俺にはJK向いてなさそうだな」


そういいつつも彼はスマホをいじっていた

動きがピタっと止まると自分より少し斜め上にスマホを上げ始めた


…もしかして、自撮りしようとしてる?


あまりにもオドオドしていて今にもぶれてしまいそうな不安定感に、私は思わず笑ってしまった


すると彼は驚いた顔をしてこちらを向いた


「なに?」


「奈穂って笑うと、そんな顔すんのな」


私って、ここでそんなに笑ってなかったっけ
…って

「は?どんな顔よ」


「いい顔すんじゃん」


思わぬ言葉が飛び出してきて私は驚いた


「ふ、ふざけないでよね」


「ふざけてねーし」


なにこれ、照れる


「自撮りしたいの?」


私はそう言ってが手に持ってるスマホを奪って内カメラモードにしてスマホの画面をこちらに向けた


「おう、なんかよくわかんなかったわ」


「じゃあ、JKが教えてあげるよ」


そう言って、國充をこちらに引き込んで、カシャッと効果音を鳴らして写真を撮った