《12日目》

「これ、美味しいんだよな」

私の目の前で、コンビニスイーツ片手に微笑んでいる高校生男子がいる

私も食べたくなるからほんとにやめて欲しい

てかここで食べるなら2つ買ってきてよ


「コンビニのスイーツってさ、甘く見てると後悔するくらいだよな」

「なにそれ、後悔するくらい美味しいってこと?」

「そーゆーこと
あぁ、
ほんとにコンビニスイーツは悪だよなぁ」


そういいつつ、彼はフォークですくったロールケーキをひと口ぱくりと食べた

美味しそうに食べる彼の顔を見る度、私の食べたい気持ちは高まってくる


するといきなり、ロールケーキのひと口分、フォークの上に乗っかっているものが私の目の前にやってきた

「ん、ほら」


え、これって…

「食べて、いいの?」


「だって奈穂、さっきからめっちゃ食べたそうな顔してたから」


あ、バレてたか

「早くしないと、食べちゃうぞー」


その一言に押されて、私はぱくりと國充のロールケーキを食べた


「美味いだろ?」


私は頷いた

甘ったるくない控えめだけどちゃんと甘くて、生クリームとスポンジが見事に調和していた


「でも俺思うんだけどさ、なんでコンビニのロールケーキって生クリームの部分が多いんだろうな

普通のケーキ屋さんに売ってるロールケーキはさ、もっとスポンジと生クリームが層になってるっていうか、スポンジの方が容量多いだろ?」


言われてみれば、確かに

美味しいってだけ気にしてて、全然気づかなかった


「でも私は、生クリームが多いコンビニのロールケーキも美味しくて好きだけどね」


「そりゃ俺もそーだけどさ、でも渦巻きみたいにスポンジが多い方も捨てがたいよなぁ」


とにかく、ロールケーキは美味しい

それだけが確かな事実で、私的にはどちらでもよかった


「あと、カスタードクリームとかあったらうまそうじゃね?」


か、カスタード!?

「なにそれ」

私は見たことがなかったし、聞いたこともない


「絶対美味いって!」

「食べる前にとろけちゃいそう」


生クリームより、カスタードクリームのほうがドロっとしているイメージがある


「あ、そっか

それ盲点だったわ」


とんでもない意見に驚かされた私は、思わず笑ってしまった

それを見て國充は嬉しそうに笑った