「えっ、バンドですか?」

そう聞き返した瑛太に、
「ベーシスト――時々ヴォーカルも担当するけど――は僕で、ヴォーカルが女の子。

彼女は12歳なんだけど、ギターとベースも弾けるんだ」

宗助が言った。

「ギターとベースも弾けるんですか?」

そう言った瑛太に、
「僕がヴォーカルを担当している時はベースを弾いているんだ」

宗助が言い返した。

「君がもしよかったらだけど、僕のバンド『ベイビー・スターダスト』でギタリストとして入ってくれないか?」

瑛太は宗助から受け取った名刺を見つめた。

最近始めたばかりの芸能事務所の社長でバンドのベーシストから、ギタリストとしてスカウトされた。

(このチャンスを逃してしまったら、もう2度とめぐりあえないかも知れない…)

瑛太は思った。