「やった!」
「よかった…」
「あたしたち、まだいてもいいんだね」
ホッとした顔を浮かべた3人を、宗助は微笑ましく思った。
「あー、でも10年続けられた記念にベスト盤を1つ出したいかもな」
宗助が言ったので、
「ベスト盤って…それって、解散するバンドがすることだよ」
夏々子が言った。
「記念として出すバンドだっているぞ」
笑いながら言った宗助に、
「いいんじゃないですか?」
瑛太が言った。
「この10年でシングルを結構出しましたし、そろそろベスト盤を出してもいいと思いますよ」
そう言った瑛太に、
「それいいかもな」
桑田が同意をするように首を縦に振ってうなずいた。
「じゃあ、出そうよ!
シングルが両A面を入れたら18曲、今年映画の主題歌として提供した曲が1曲、これで全部で19曲よ。
これに書き下ろしの曲を1つ入れたら全部で20曲になるわ」
そう言った夏々子に、
「計算が早いな…」
桑田は呟いた。
「1枚だけじゃもったいないな。
2枚目はカバー曲が20曲、初回限定版にはシングル曲のPVを収録したDVDをつけよう」
宗助が言ったので、
「賛成!」
3人は首を縦に振ってうなずいた。
「じゃあ、年明けから作業をすると言うことで。
それまでに1人5曲、カバーする曲を用意するように」
「了解!」
と、夏々子。
「上等」
と、瑛太。
「何だか楽しみになってきた」
と、桑田。
「年明けはそれなりに忙しくなると思うから覚悟をした方がいいぞ。
テレビの出演はもちろんのこと、取材もたくさんくるかも知れないからな」
イタズラっぽく笑った宗助に、
「それくらい、今に始まったことじゃないじゃない」
夏々子が笑いながら返した。
「むしろ、楽しみにしてますよ」
瑛太も笑いながら言った。
「5年目は武道館でライブをやったから、10年目はどこでライブをやります?」
そう言った桑田に、
「東京ドーム…と行きたいところだけど、どうかな?」
宗助が言った。
「いいねー!」
そう言った後、4人は笑った。
このまま4人で過ごす時間が長く続きますようにと、心の底から願った。
「そろそろ帰ろう」
そう言った夏々子に同意をするように、4人は笑顔でこの場から立ち去った。
――10年間、長かったですね
いや、僕は長いとは思っていないです。
気がついたら10年経っていたのかって言う感じです。
年齢なんですかね?(笑)
最近はどうしても1年が短く感じられます。
――いえいえ、玉井さんはまだお若いですよ
ハハ、ありがとうございます。
――そんな玉井さんに質問です
はい、何でしょうか?
――10年間続けることができた秘訣を教えてください
秘訣…は、特にないです。
でも1つだけあげるとするならば、集まったメンバーがなっちゃんと瑛太と桑田、そして僕だったこと。
これが1番大きいところかなと思います。
――1人でも欠けていたら、続けることができませんでしたか?
そうかも知れないですね。
僕は彼らのことを世界一だと思っています。
世界で1番のギタリストに、世界で1番のドラマー、そして世界で1番大切にしたい女の子。
この中で誰か1人でもいなくなっていたら、長く続けられなかったと思います。
――大切にしているんですね
ええ、大切ですよ。
彼らがいるから、僕はいろいろなことができるのですから。
――そして今回、10年目の記念としてベスト盤が発売されるそうですね!
はい、10年目と言うことで豪華にまとめています!
――シングル曲が書き下ろしを含めて全部で20曲と、ファンにはたまらないですね!
全部思い入れがありますので、聞いてくれると嬉しいです。
――2枚目のディスクはカバー曲が全部で20曲ですけど、1つ質問してもいいでしょうか?
ええ、どうぞ。
――アルバムにも必ず1曲アーティストのカバー曲が収録されているんですけど、どうしてですか?
大体のバンドって、アーティストの曲をコピーすることから始めると思うんですよね。
僕らもそうでした。
初心を忘れないようにと言う意味で、アルバムに必ず1曲アーティストの曲をカバーして収録しています。
ちなみに僕らが最初にカバーした曲は、ビートルズの『She Loves You』です。
――瑛太さんのリクエストですか?
そうですね、ベスト盤には僕らが影響を受けたアーティストの曲をカバーしました。
誰がどのアーティストの影響を…って、言う必要はありませんね(笑)
――ファンの皆さんは知っていますよね
ええ、そうです。
ファンはよく見ています。
――そして、10年目の記念と言うことで東京ドームでライブが行われるそうですね!
3月の終わりに東京ドームで一夜限りですけど、ライブを行います。
ライブのタイトルは、『Labyrinth』です。
デビューしてからの10年間ありがとうございましたとこれからもよろしくお願いしますと言う感謝をこめてライブをやります!
――タイトルの意味が“迷宮”と言うことで、そう言った演出も…
いや、それは言えません。
当日までのお楽しみと言うことでお願いします。
――楽しみにしています!
はい、ありがとうございます。
――以上、インタビューはこれで終了いたします
お疲れ様でした。
――はい、ありがとうございました
ありがとうございました。
(【Music Romanesque】@「ベイビー・スターダスト」メジャーデビュー10周年記念インタビューより)
Best of Baby Stardust
20××.02.11 on sale
初回限定盤(2CD+DVD)
¥4,000+税
通常盤(2CD)
¥3,000+税
Vocal.Guitar.Bass Nanako
Vocal.Bass Sousuke Tamai
Guitar.Harmonica.Chorus Eita Ueki
Dram.Chorus Yasutaka Kuwata
<収録曲>(CD1)
01.雨色メモリーズ
02.ナンセンス・ガール
03.インセプト・ボーイ
04.チョコレート
05.ストーリーテラー
06.夏の城
07.スノー・クイーン
08.サンタクロース
09.Magic
10.High Times
11.Slow Dancer
12.in the bed
13.クレオパトラ
14.片翼のマリア
15.夢の続きを聞かせて
16.Are you ready?
17.ミスター・ブラック
18.ミス・マスカレード
19.backstreet ※アニメ映画主題歌
20.太陽を抱きしめた日 ※新曲