* * *

詩を書き始めたのは、小学4年生くらいだったと思う。

「ねえ、お兄ちゃん」

宗助は浮橋に話しかけた。

「宗助、どうした?」

学ラン姿の浮橋が聞き返した。

「僕のお父さん、生きているのかな?」

そう聞いてきた宗助に、
「またその話かよ…」

浮橋はやれやれと言うように息を吐いた。

「はいはい、生きていると思いますよ」

浮橋はそう答えると、ポンポンと宗助の頭をなでた。

満足そうに笑った宗助に、
「ずっと前から思ってたけどさ、どうして父親が生きてるって信じているんだ?

絶対に生きているとは限らないのに」

浮橋は質問した。