ピッキング・カルテットの仕事は、いつも宗助が持ってくる。

宗助がピッキングをする悪党の情報を持ってきて、一通り説明を受けた後、その悪党から金品財宝を奪うとのが仕事の内容だ。

だけど…宗助は、どこから悪党の情報を持ってくるのだろうか?

ベーシスト兼ヴォーカリスト、作詞家で作曲家、マネージャーで代表取締役社長。

6つも職業を持っていたら、食事をする時間どころか眠る時間すらもたぶんないはずだ。

なのに、宗助はどこから情報を持ってくるのだろう?

「なっちゃん」

宗助に名前を呼ばれ、夏々子はハッと我に返った。

「16時からの雑誌のインタビュー」

「えっ…ああ、そう言えば…」

夏々子は思い出したと言うように返した。

「そろそろ撮影現場に向かうよ。

ついたらスーツに着替えないと行けないし」

「あっ、うん…」

夏々子は首を縦に振ってうなずくと、椅子から立ちあがった。