そんな4人に、
「何も変わっとらんでよかったわ」

のん気な声が聞こえた。

「あ、荒畑さん…」

宗助が初めて彼の存在に気づいた。

4人は人気ロックバンドの顔に戻した。

「ホント、シラタマは何にも変わってないな」

徳重に首を絞められている格好で、本山が言った。

「えっ?」

宗助は訳がわからなかった。

「自分のことを“俺”と気取って言ってるところとか、全く変わっとらんわ」

笑いながら言った本山に、宗助は手で隠すように口をおおった。

そう言えばさっきの宗助の一人称は僕ではなく、俺だった。