荒畑は訳がわからないと言う顔をした。

「玉井くんしか知らんって、どう言う意味やか?

住んでおる場所もわからへんやか?」

荒畑が桑田に問いつめる。

「知ってたらこんな思いをしてねーよ!」

桑田が怒鳴るように荒畑に返した。

それまで膝に顔を埋めていた瑛太の顔が、何事かと言うようにあがった。

「…すみません」

呟くような声で桑田は謝った。

「俺たちも、不安なんです…。

何度電話をしても電源を切られているのか、全然出てくれなくて…。

なっちゃんが生きているのかどうかも、わからない…。

宗助さんが逮捕されて、不安で押しつぶされそうになってて…だけど、俺たちよりもなっちゃんが不安で押しつぶされそうで…。

なっちゃんは宗助さんを父親のように、兄のように…誰よりも、もしかしたら俺たちよりも深く慕って…」

桑田の声が震えていた。

彼の目からは、ボロボロと涙がこぼれ落ちていた。