桑田の楽しそうにしゃべる声が聞こえる。

徳重は瑛太と荒畑の様子をうかがっている。

本山はチラリと、雑誌から彼らを見た後すぐに視線を戻した。

先に口を開いたのは、
「――すみません…」

瑛太の方からだった。

グレーの瞳を荒畑に向ける。

「俺、15の時に――中学を卒業したのと同時に、家出同然で故郷を飛び出したんです」

荒畑に隠し事はできないと、瑛太は思った。

「それ以来、故郷に帰っとらんの?」

そう聞いた荒畑に、瑛太は首を縦に振ってうなずいた。

「13年…いや、今年でもう14年か」

瑛太は呟くように答えた後、
「だから父親と母親は、俺は死んだと思ってる…はずです」

両手で膝を抱えた。