分かろうとしていなかったのだ。 「うん。……ごめんね?……」 雛子は、僕が思うよりずっと強い女の子だった。 「弥生は、意地悪過ぎる……」 雛子の声が、徐々に小さくなる。 震える肩で、彼女が泣いているのだとわかった。 「弥生は……優し過ぎるんだよ……」 僕は優しくなんてない。 ひねくれてて、性格なんて極悪で、おまけに君の弱さに漬け込むズルい男。 そんな僕に“優しい”だなんて言葉、合うはずがない。 そんな綺麗過ぎる言葉、痛くてたまらないんだ。 .