* * * 「弥生君!」 澪は目の前に弥生の姿を見つけ、ヒラヒラと手を振りながら近づいた。 二人が待ち合わせたのは、都内の映画館。 この映画館には沢山の施設が入っていて、一日いても全く飽きない。 そんな末で、この場所を選んだのは澪だった。 前に稚尋とも来た事が何度かあるし、迷う事もないだろう。 二人が落ち合った時、時計の針は10時を指していた。 小走りで近づいてくる澪に対し、弥生も軽く笑みを零した。 .