「………ひゃっ…!」
その突然の圧迫感に驚き、思わず瞳を開けば。
「………澪…」
不器用で優しい彼に包まれる、あたしがいた。
首にあたる髪の毛がくすぐったかった。
でも。
すっごく温かかった―………。
「どっ…どうしたの…?」
その問い掛けに稚尋は何も答えない。
ただ、抱きしめる腕の力を強めるだけだった。
チッ
チッ
チッ
壁にかけられたシンプルな掛け時計が、二人の空間を刻んでいた。
一秒
ニ秒
三秒
その時間に合わせ、時計は正確に時間を刻み続けた。
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