そしたら社長は強引に私の腕を掴んできた。えっ、何? 何なの?そう思った時には、社長はすぐ近くにあった応接室の扉を開けた。
ちょっと……社長。本当にいきなり何なの?何がなんだか訳が分からず強引な形で、社長は私を応接室に連れ込んだ。
余りにも強引すぎる社長の行動に、私はただ呆然となるばかりだった。そんな私をよそに、社長はちょっと言いづらそうな表情を浮かべなから、おもむろに口を開き始めた。
「愛花ちゃん。いきなり、ごめんね。……とりあえず座ってくれる」
「……はい」
社長は意を決したように、口を開いた。
「愛花ちゃんは俺のこと覚えてないみたいだから、はっきり言うよ。愛花ちゃんは俺の後輩なんだよ」
「えっ!?」
「どうやら思い出せないみたいだから、はっきり言うね。俺は美術部の部長だった高城恭介だよ」
やっぱり社長は憧れの高城先輩だったんだ。
「えっ!? 本当に、高城先輩……なんですか? 今まで全く気付かなくて申し訳ありませんでした」
「いや、いいんだ。それより、もっと大事な話があるんだ。聞いてくれる?」
就任式の時から高城先輩ではないかと気付いてはいたけど、あえて私は気付いていないフリをしてしまった。