新社長の就任式から数日後。今日は新たなプロジェクトが発表されることになっている。どんな企画なのか凄く楽しみだ。

 プロジェクトの発表前、私は営業部に用事があったから営業部のあるフロアへと足を運んだ。用事を済ませて、デザイン部のあるフロアへ戻ろうとした時だった。

 後ろから突然名前を呼ばれて驚いたので、後ろを振り返ってみた。

高木愛花(たかぎあいか)さんですよね」

「……はい」

 名前を聞かれたので、とりあえず返事をした。声を掛けてきた人の顔をよく見たら相手は、なんと社長だった。

「新社長にお目にかかれて嬉しく思います。ところで社長が私に何か用事でも有るんでしょうか?」

 何故、社長が私の名前を知っているんだろう?それからどうして、私を呼び止めたのか凄く不思議だった。社長の顔を間近で見て、社長は私の初恋の人『高城先輩』だと確信した。

 私は憧れていた先輩に、再会出来たことが、嬉しかった。今は職務中だから、嬉しさを顔に出さない様にするのを、必死になって堪えた。

 だけど社長の何処か寂しげな表情が気になった。
そう思っていたら、今度は高城先輩の目がやけに真剣なものに変わった。