あの飲み会から数週間が経ち、私が企画した商品が販売され売り上げも好調を維持している。
社内での評価が上がり、私は仕事が楽しくなってきた。
カフェスペースで休憩していると、村上が現れた。
「この前は悪かった」
「別に、私は気にしてないから忘れよう」
「俺……愛花のことが好きなんだ。返事は今すぐじゃなくていい。ゆっくり考えて欲しい」
えっ……村上が私のことを?それじゃ弥生の勘は当たってたこと。
でも、私は高城先輩が好き。
「ごめん。私……他に好きな人がいるから、村上の気持ちには応えられない。考えても、私の気持ちは変わらないから」
「愛花が俺を男として見てないのは、分かっていたんだけど」
「ねぇ都合の良いこと言うのは悪いって思うんだけど、これからも同期メンバーとして仲良くしてくれる?」
「そんなの当たり前だろ」
村上から握手を求められたから、私は彼と握手して仕事場に戻った。
自分の部署に戻り、パソコンを見ると社長から『今から応接室に来て欲しい』って社内メールが入っていた。
社長から呼び出しって……何かトラブルでも発生したのかな?私は急いで応接室に向かった。
私は深呼吸して応接室の扉をノックした。
「はい。どうぞ」
社長の声を聞いて私が中へ入ると、高城先輩は大きく深呼吸した。
何か強い決意でもしたらしく、高城先輩は険しい表情へと変わった。そして……ゆっくりと口を開いた。
「単刀直入に言うね。俺……高校の時からずっと、愛花ちゃんのことが好きだったんだよ。愛花ちゃんのことを、忘れたことなんて無かった」
予想外の告白で、私は頭が真っ白になった。
「嘘!? 高城先輩が私を好きだったなんて、信じられません」
「嘘じゃないよ。俺の初恋の人は愛花ちゃんだよ」
うっ、嘘……何だか夢を見てるみたいだ――。
高城先輩が高校時代から私のことを好きだったなんて……私も高校生の時に高城先輩に恋心を抱いていた。
だけど……告白する勇気なんて無かった。
先輩が卒業していく姿を……ただ、見つめることしか出来なかった。