同期のみんなが、お互いの存在を認め合い……励まし合いながら仕事をしていると、成功した時の達成感はより大きい。
自然とお前がいたから、頑張れたんだって気持ちになる。
ただ単にライバル視するだけでは、大きなものは生み出せない。
社員が一丸となって仕事をしないと、大きな成功は生み出せないと思う。
この会社に一番欠けているのは、それだと思う。
『ZOP』には、イマイチ統一感が無い気がするのは自分の案を通そうと、相手の案に批判を浴びせることしかしない。
ライバルの案の良さを、認めようとしない癖がある。
私達の同期メンバーは、みんなそれを分かっている。
だからこそ相手の良さを認め、駄目な所があったら指摘をするようにしている。
それが功を奏して、取り付けた契約が意外と多い。
私達は決してただの仲良しごっこをしてる訳じゃないって事を、先輩たちに気付いて欲しいんだけど……それは難しそう。
同期会当日、予約してある居酒屋へ行くと、私以外のみんなは既に集まっていた。
自分が最後だと思うと、申し訳無い気持ちにかられた。
「遅いよ……愛花」
「ゴメン、どうしても今日中に片付けたい仕事があったから……遅くなった」
「……まぁ、ちゃんと来たんだからいいじゃねぇか。愛花が来たから、乾杯しようぜ」
村上の掛け声で、全員が生ビールのジョッキを片手に持った。
村上は笑顔でジョッキを渡してくれた。遅れて来た私の分も注文してくれてたんだ。
そんなみんなの優しさに、思わず感動した。
「それでは、愛花のプロジェクト成功を祝して、カンパイ~」
「カンパイ」
村上の掛け声に続き、みんなで、声を揃えて『カンパイ』の掛け声で、全員がグビグビとビールを飲み始めた。
そういえば乾杯の時に村上が変なこと言った気がするんだけど……気のせい?
「愛花はようやく、デザイナーとして本格的な仕事したんじゃんない。今日は愛花の為に開いた同期会なんだから、好きなだけ飲みなよ」
「えっ!? 私のために開いた同期会だったの」
「そうだよ。今日の主役は愛花なんだから……じゃんじゃん飲みなって」
同期の中で一番仲が良い、桐谷弥生(キリタニ ヤヨイ)の言葉で、私は自然とお酒を飲むピッチが早くなった。
私は軽く酔いが回り始めた頃、弥生は何故か興奮し始めた。
「ねぇー、ちょっと……みんな見てよ。カウンター席に社長が居るよ」
えっ!? この店に高城先輩がいるの。