真央の反応に多少の違和感を感じたけど、会って話が出来るのは嬉しい。

 真央はアパレル業界最大手の『lovers』に勤務している。

 『ZOP』とは雲泥の差。ZOPも業界の上位進出を目指してはいるけど、簡単にはいかないのが現実。

「愛花は仕事も恋愛も順調なの?」

「……」

 私は言葉に詰まった。そんな私を見透かしたように真央は口を開いた。

「それとも、どっちも選べないでいるのかな?」

「もしかして、私が悩んでいるのを分かったの?」

「うん。だって……顔に出てるんだもん」

 元々隠すつもりなんて微塵も無かったし、それに……真央に恋愛相談しに来たんだから、隠さずに全てを話した。そしたら真央は意味深な笑みを浮かべなら、口を開いた。

「そんなに気になるんだ」

「うん、確かに気になってる」

 私は正直に返事をした。

「それって、社長のことを好きになったんじゃない」

 真央まで涼子たちと同じこと言うなんて……ちょっと期待外れだった。私の思いとは裏腹に真央は言葉を続けた。

「初恋の人っていうのを除外して、愛花は今の社長に恋をしたんだよ」

「そうなのかな?」

「絶対にそうだよ。自分の気持ちと正直に向き合いなよ」

「うっ、うん。分かった。ところで、真央はどうなの!?」

 真央は大学を卒業して以来、恋愛を敬遠している。結婚適齢期を迎えてるのもあり、真央が恋愛を遠ざけているのが気になったから聞いてみた。

「――あっ、あたし?」

「真央は相変わらず冬木くんのことがトラウマになってるのかな?」

「ちょっと分かってるなら、聞かないでよ」

 むくれた真央の表情が可愛かった。やっぱり予想通りだった。仕事が恋人ってモットーは変わっていない。

「じゃあ真央は相変わらず仕事一筋なんだね」

「うん、でも……このままじゃいけないって思ってるんだけど、なかなか恋愛に踏み出す一歩の勇気を出せないんだよね――」