こんな時は仕事に集中すれば、余計なことを忘れらる。私は気持ちを切り替え、仕事に没頭した。仕事に集中していたら定時になった。

 部長に挨拶して帰ろうとエントランスに向かうと、高城社長の姿があった。

「高木さん、このあと何か予定ありますか?」

 えっ!?高城社長が私に何故そんなことを聞いてくるんだろう。そう思いながらも、本当のことを伝えることにした。

「特に予定はありませんので、帰るところなんですけど……」

「予定がないなら、俺と一緒に飲みに行かない?」

 昨日も芹菜達と飲んだのに今日もアルコール飲まなきゃいけないの?

 だけど、社長の誘いを断るなんて出来ない。いや違う……断りたくなんてない。先輩と一緒に飲みに行きたい……それが本音だった。

 昨日飲み過ぎたので、少しためらったけど……私は先輩と飲みに行くことを決めた。
 断らなかったのは、先輩から飲みに誘われたことが凄く嬉しかったから。

 高城先輩とタクシーに乗り、先輩は店の名前を運転手さんに告げた。車内では私も先輩も自然と無言になってしまった。何を話したらいいか分からず、気まずい沈黙が続く。

 結局……車内では一言も喋ることなく、タクシーが目的地に到着してしまった。高城先輩はタクシー代を支払い、店の中へと案内してくれた。

 さりげなくドアを開けてレディーファーストをする姿を見てこういうことに慣れてる感じがした。

 高校時代も高城先輩はモテていたのできっと付き合った女性の数も多いと思う。