「昼間のこともあったし、仲直りしようと思って来たら、お前、爆睡してるしさ。起こすのも可哀相だなぁって添い寝して。でも、寝顔見てたら、めちゃめちゃ可愛くて。キスをしたら、凄い力で暴れるから。つい押さえつけただけで。それを大嫌いって?ひどくないか?」
保は逆ギレし始めた。
話にならない……。
自分がしたことを、全然反省してない。
保はベッドから起き上がると、部屋の電気を点けた。暗闇に慣れていた目に照明の光が飛び込み、眩しくて瞼を閉じる。
「……やだ。眩しいでしょう」
泣き顔を見られるのが嫌で、私は布団を被る。
「明日、私日勤なのよ」
「俺もだよ。ちゃんと話そうぜ。昼間のこともあるし、このままにできないだろ」
「……昼間のこと?」
「そーだよ!土竜みたいに布団に隠れるなっ」
「……キャッ」
布団を引き剥がされ、私は照明の下で泣き顔をさらけ出す。
「……まったく、彼女がいるとか強盗とか、何を言ってるんだよ。このままじゃ、明日仕事に行けないだろ」
一体、誰のせいだと思ってるの?
全部全部、保のせいだよ。
「……何よ、開き直る気」
「だから、俺は優美と半年前に別れたんだよ。雫と出会う前の話だよ。俺が今付き合ってるのはお前なんだ。わかってんの?」
少し乱暴な尋問に、私は黙秘を貫く。
もしここが警察の取り調べ室なら、被害者と加害者を取り違えてるよ。
二股をしたくせに、私のマンションに不法侵入して、強引に関係を迫ったのは保だ。
保は私の両肩に手を掛け、私の顔を覗き込んだ。
「お前さ、そんなに俺のことが信じられないなら、もう別れるしかないな」
「……えっ?」
保と……別れる?
「仕方ないな。俺は雫のことが好きだけど、大っ嫌いって言われたら、別れるしかないよな」
「……たもつ……まってよ」
「……ごめん」
「ねぇ……ってば」
感情が昂り、また涙が滲む。
怒りの感情と後悔が入り交じり、混乱している。
こんなに好きなのに……
別れるなんて出来ないよ……。
ぽろぽろと涙が頬を伝う。
保は無言のまま、私を見下ろした。
「なーんて、ウソだよ」
「はっ?」
「嘘に決まってるだろ?雫に別れてくれと言われても、俺は嫌だからな。俺は、雫と絶対に別れないから」
「嘘だったの?ひ……ひどい……」
保に嘘だと言われ、私は泣きじゃくる。
「雫がいけないんだぞ。元カノのことで、グジグジ言うし、大っ嫌いだの、合い鍵返せだの、騒ぎ立てるから」
「だって……だって……」
「もう……泣くな。ちょっと俺も……悪ふざけが過ぎた。元カノとのことも誤解させて悪かったよ」
保が私を強く抱き締めた。
「ごめんな……。泣くなって」
私を抱き締め、優しい声で囁く。
「俺は……お前だけだから……」
保が耳元にキスをした。
くすぐったくて、首を竦める。
「もう……レイプにならないよな?」
「……っ」
意地悪だな。
保は首筋に優しくキスを落とした。
体がジンと痺れ、暗い心に明かりが灯る。
「電気消して……」
「だめ、照明の下で雫を見たい。俺を強盗犯にしたお仕置きだよ」
「絶対にいやだからね」
「だったら、雫が瞼を閉じてろよ」
「やだぁ……。だったら何もしないで」
「仕方ないな」
保は笑いながら、パチンと電気を消した。
暗くなった室内で保と抱き合う。
あんなに怒っていたのに。
絶対に許さないって、怒っていたのに。
保の腕の中はあったかくて……
心が……安心するんだ……。
――保……。
私は……
保と別れるなんて出来ない。
ねぇ……。
保もそうでしょう?
保の優しさに包まれ、甘い吐息を漏らす私は、保を嫌いになることよりも、この恋を失うことの方が怖い。
だって……こんなにも……
保のことが好きだから……。
絡まる指先まで、私は保を感じている。
その夜……。
保の腕に抱かれたまま、私は深い眠りに落ちた。
◇
――朝、目覚めると隣に保はいなかった。
枕の上に一枚のメモ用紙が置かれ『仕事だから、自分のマンションに戻る』と、書かれていた。
勝手に来て、勝手に帰るんだね。
保はいつも自分勝手。
でも……そんな保が……
だいすき……。
保は逆ギレし始めた。
話にならない……。
自分がしたことを、全然反省してない。
保はベッドから起き上がると、部屋の電気を点けた。暗闇に慣れていた目に照明の光が飛び込み、眩しくて瞼を閉じる。
「……やだ。眩しいでしょう」
泣き顔を見られるのが嫌で、私は布団を被る。
「明日、私日勤なのよ」
「俺もだよ。ちゃんと話そうぜ。昼間のこともあるし、このままにできないだろ」
「……昼間のこと?」
「そーだよ!土竜みたいに布団に隠れるなっ」
「……キャッ」
布団を引き剥がされ、私は照明の下で泣き顔をさらけ出す。
「……まったく、彼女がいるとか強盗とか、何を言ってるんだよ。このままじゃ、明日仕事に行けないだろ」
一体、誰のせいだと思ってるの?
全部全部、保のせいだよ。
「……何よ、開き直る気」
「だから、俺は優美と半年前に別れたんだよ。雫と出会う前の話だよ。俺が今付き合ってるのはお前なんだ。わかってんの?」
少し乱暴な尋問に、私は黙秘を貫く。
もしここが警察の取り調べ室なら、被害者と加害者を取り違えてるよ。
二股をしたくせに、私のマンションに不法侵入して、強引に関係を迫ったのは保だ。
保は私の両肩に手を掛け、私の顔を覗き込んだ。
「お前さ、そんなに俺のことが信じられないなら、もう別れるしかないな」
「……えっ?」
保と……別れる?
「仕方ないな。俺は雫のことが好きだけど、大っ嫌いって言われたら、別れるしかないよな」
「……たもつ……まってよ」
「……ごめん」
「ねぇ……ってば」
感情が昂り、また涙が滲む。
怒りの感情と後悔が入り交じり、混乱している。
こんなに好きなのに……
別れるなんて出来ないよ……。
ぽろぽろと涙が頬を伝う。
保は無言のまま、私を見下ろした。
「なーんて、ウソだよ」
「はっ?」
「嘘に決まってるだろ?雫に別れてくれと言われても、俺は嫌だからな。俺は、雫と絶対に別れないから」
「嘘だったの?ひ……ひどい……」
保に嘘だと言われ、私は泣きじゃくる。
「雫がいけないんだぞ。元カノのことで、グジグジ言うし、大っ嫌いだの、合い鍵返せだの、騒ぎ立てるから」
「だって……だって……」
「もう……泣くな。ちょっと俺も……悪ふざけが過ぎた。元カノとのことも誤解させて悪かったよ」
保が私を強く抱き締めた。
「ごめんな……。泣くなって」
私を抱き締め、優しい声で囁く。
「俺は……お前だけだから……」
保が耳元にキスをした。
くすぐったくて、首を竦める。
「もう……レイプにならないよな?」
「……っ」
意地悪だな。
保は首筋に優しくキスを落とした。
体がジンと痺れ、暗い心に明かりが灯る。
「電気消して……」
「だめ、照明の下で雫を見たい。俺を強盗犯にしたお仕置きだよ」
「絶対にいやだからね」
「だったら、雫が瞼を閉じてろよ」
「やだぁ……。だったら何もしないで」
「仕方ないな」
保は笑いながら、パチンと電気を消した。
暗くなった室内で保と抱き合う。
あんなに怒っていたのに。
絶対に許さないって、怒っていたのに。
保の腕の中はあったかくて……
心が……安心するんだ……。
――保……。
私は……
保と別れるなんて出来ない。
ねぇ……。
保もそうでしょう?
保の優しさに包まれ、甘い吐息を漏らす私は、保を嫌いになることよりも、この恋を失うことの方が怖い。
だって……こんなにも……
保のことが好きだから……。
絡まる指先まで、私は保を感じている。
その夜……。
保の腕に抱かれたまま、私は深い眠りに落ちた。
◇
――朝、目覚めると隣に保はいなかった。
枕の上に一枚のメモ用紙が置かれ『仕事だから、自分のマンションに戻る』と、書かれていた。
勝手に来て、勝手に帰るんだね。
保はいつも自分勝手。
でも……そんな保が……
だいすき……。