なんか、久しぶりに悪夢を見た気がする。
ベッドに座り込むと私は、寝癖のついた髪の毛をなでながら、今見ていた夢について振り返る。
夢の中での私は、未知の病「幻想病」というものにかかってしまい、悪戦苦闘しながらも病気を受け入れ日々を過ごす……簡単に言ってしまえばそんな夢だった。
詳しくは思い出せないものの、何か大切な物を失ったような喪失感に襲われていたのをよく覚えている。
普段は見た夢の内容など覚えていることなどほとんどないのだが、今日はいつもより鮮明に覚えている気がする……。
というか、そんなことよりも――
幻想病って何!?
たしか夢の中では、想像したことが全て現実になる……とかいうものだったはず。
「えっ、もしかして、本当にできちゃう感じ!?」
私はもう完全に興奮しきっていた。
予知夢の一種なのだろうか。いや、そうに違いない。しかもいきなりこんな鮮明な夢なんて……不可思議だ!
思わずベッドの上でガッツボーズを繰り出したところでようやく、扉を開けてこっちをじっと見ている者の存在に気付く。
ベッドの上で、一人はしゃぐ私を冷めた目で見つめているのは妹の小鳥遊和美。私と3歳差でそろそろ中学生になるが……化粧なんていらないほど整った顔立ちにきれいな肌、そしてすでに胸が大きく(私は未だ小さいのだから……うらやましい)見た目はとても可愛くて男子にモテるというのに、私に対してはとても生意気で、全く可愛げのない妹だ。
「また厨二病発動させてるの―?」
心の中で小さな悪口を言っていると、私を冷めた目で見つめながらそういった。
……この子にはお姉ちゃんを敬うっていう気持ちがないのだろうか? しかも厨二病じゃないし! 断固否定する!
「気持ち悪い……そろそろご飯だって」
和美は今にも吐きそうな表情をしながら、部屋から出ていった。
私、何かしたかな……え、どこか変なの?
和美から率直に気持ち悪いという言葉を受けたのは今日が初めてだったからちょっとだけ、傷ついたかも……。
まぁ、和美もそろそろ反抗期なのかな! 成長早いもんね!
私は良くわからない納得の仕方で悲しさを抑え、朝の支度を始める。
明日は学校がない日だ、と夜更かししてしまったせいですでに時計は11時を回っている。今日は13時から塾がありまだ宿題も終わっていないのだが……今はそんなことどうだってよかった。
私は洗面所へ行き顔を洗い終わると、歯磨きを始める。
その歯磨きの最中、私はさらに妄想を広めていた。
幻想病がもし本当だったら……理想の彼氏とか、できちゃうのかな? 成績もよくなるのかな?
もちろん本気で信じているわけではないし、信じるほどのばかでもない。だが受験シーズンというのもあり、高校に合格したいというのもたしかだ。
「あぁぁー、ハンバーグ食べたい」
そろそろお昼の時間にもなってしまう。さっき起きたばかりだというのに、私のお腹はさっきからずっとぐぅぐぅと音をならしている。
私の大好物のハンバーグ……。思い浮かべるだけでもよだれが出てきそうだ。
私が想像したそれは、2人前はありそうな大きなハンバーグに、大量のケチャップがかかっている、かなり欲張りなものだった。
「んん食べたい!」
考えれば考えるほど、今すぐ食べたくなってくる。
そう、今すぐ――
「かれーん、お昼ご飯の準備できたわよ」
一階のキッチンから聞こえてきたその声は、私の母である小鳥遊美智子のものだった。
そろそろ40歳になる私の母は、休日は家にいるものの、平日は自営業でパン屋を営んでいる。同級生にも評判のうちのパン屋は、どこのパンよりもおいしいらしい。私にはよく違いが分からない。ただそのおかげで私も鼻高々と母のことを語ることができる。
お腹が空きまくっていた私は一目散に階段を駆け下りキッチンへ向かう。
「お母さんおはよ~」
勢いよく登場して、母に向かって手を振った私の目の前にあったのは……一度も食べたことのないくらい、大きなハンバーグだった。
ベッドに座り込むと私は、寝癖のついた髪の毛をなでながら、今見ていた夢について振り返る。
夢の中での私は、未知の病「幻想病」というものにかかってしまい、悪戦苦闘しながらも病気を受け入れ日々を過ごす……簡単に言ってしまえばそんな夢だった。
詳しくは思い出せないものの、何か大切な物を失ったような喪失感に襲われていたのをよく覚えている。
普段は見た夢の内容など覚えていることなどほとんどないのだが、今日はいつもより鮮明に覚えている気がする……。
というか、そんなことよりも――
幻想病って何!?
たしか夢の中では、想像したことが全て現実になる……とかいうものだったはず。
「えっ、もしかして、本当にできちゃう感じ!?」
私はもう完全に興奮しきっていた。
予知夢の一種なのだろうか。いや、そうに違いない。しかもいきなりこんな鮮明な夢なんて……不可思議だ!
思わずベッドの上でガッツボーズを繰り出したところでようやく、扉を開けてこっちをじっと見ている者の存在に気付く。
ベッドの上で、一人はしゃぐ私を冷めた目で見つめているのは妹の小鳥遊和美。私と3歳差でそろそろ中学生になるが……化粧なんていらないほど整った顔立ちにきれいな肌、そしてすでに胸が大きく(私は未だ小さいのだから……うらやましい)見た目はとても可愛くて男子にモテるというのに、私に対してはとても生意気で、全く可愛げのない妹だ。
「また厨二病発動させてるの―?」
心の中で小さな悪口を言っていると、私を冷めた目で見つめながらそういった。
……この子にはお姉ちゃんを敬うっていう気持ちがないのだろうか? しかも厨二病じゃないし! 断固否定する!
「気持ち悪い……そろそろご飯だって」
和美は今にも吐きそうな表情をしながら、部屋から出ていった。
私、何かしたかな……え、どこか変なの?
和美から率直に気持ち悪いという言葉を受けたのは今日が初めてだったからちょっとだけ、傷ついたかも……。
まぁ、和美もそろそろ反抗期なのかな! 成長早いもんね!
私は良くわからない納得の仕方で悲しさを抑え、朝の支度を始める。
明日は学校がない日だ、と夜更かししてしまったせいですでに時計は11時を回っている。今日は13時から塾がありまだ宿題も終わっていないのだが……今はそんなことどうだってよかった。
私は洗面所へ行き顔を洗い終わると、歯磨きを始める。
その歯磨きの最中、私はさらに妄想を広めていた。
幻想病がもし本当だったら……理想の彼氏とか、できちゃうのかな? 成績もよくなるのかな?
もちろん本気で信じているわけではないし、信じるほどのばかでもない。だが受験シーズンというのもあり、高校に合格したいというのもたしかだ。
「あぁぁー、ハンバーグ食べたい」
そろそろお昼の時間にもなってしまう。さっき起きたばかりだというのに、私のお腹はさっきからずっとぐぅぐぅと音をならしている。
私の大好物のハンバーグ……。思い浮かべるだけでもよだれが出てきそうだ。
私が想像したそれは、2人前はありそうな大きなハンバーグに、大量のケチャップがかかっている、かなり欲張りなものだった。
「んん食べたい!」
考えれば考えるほど、今すぐ食べたくなってくる。
そう、今すぐ――
「かれーん、お昼ご飯の準備できたわよ」
一階のキッチンから聞こえてきたその声は、私の母である小鳥遊美智子のものだった。
そろそろ40歳になる私の母は、休日は家にいるものの、平日は自営業でパン屋を営んでいる。同級生にも評判のうちのパン屋は、どこのパンよりもおいしいらしい。私にはよく違いが分からない。ただそのおかげで私も鼻高々と母のことを語ることができる。
お腹が空きまくっていた私は一目散に階段を駆け下りキッチンへ向かう。
「お母さんおはよ~」
勢いよく登場して、母に向かって手を振った私の目の前にあったのは……一度も食べたことのないくらい、大きなハンバーグだった。