「……というわけで、今日からこのクラスで一緒に勉強することになった佐藤茜さんよ。佐藤さんは事情があって声が出せないけど、みんなで佐藤さんのことをサポートしてあげましょうね」



人当たりの良さそうな笑みを浮かべながら、私の隣で女性教師が呼びかける。



“転校生”に興味を示していたクラスメイトは、“病気を患っている私”を見て唖然とした様子で周囲の子たちと内緒話を始めていた。



あまりに冷たい光景に想像以上のダメージを食らった私は、先生からの指示にぎこちなく頷くと窓際の列へと足早に移動した。



ぽつりと空いたその席に着き、手早く荷物を片付けていると「茜って言うの?」と弾んだ声がかけられる。