――そういえば、私の晃ちゃんも、理数系が得意だったりする。

 もしかしたら、将来、お医者様になったりするのだろうか?

『私の晃ちゃん』

 思わず『私の世界の晃ちゃん』を省略してしまい、そのフレーズでハッと脳裏に甦ったのは、ここの晃一郎の『俺の優花じゃない』という、苦しげな言葉。

 ここが自分が居た世界と良く似た世界なら、晃一郎とそっくりな金色頭のスーパー晃一郎がいるのなら、もしかして。

「あの、つかぬ事をお聞きしますが……」

『ここにも如月優花――さんは、居るんでしょうか?』

 と、もちろん、晃一郎にではなく博士に尋ねようとしたその時だった。

 ガラリ! と突然、何の前触れもなく病室のスライドアが勢いよく全開し、優花たち三人は、弾かれたように入口へと視線を走らせた。

 そしてすぐさま続いたのは、女性にしてはハスキーボイスの絶叫。

「やだ、本当に、優花ーーっ!?」

――え?

 スレンダーなボディーに、健康そうな小麦色の肌。

 好奇心に満ちた生気溢れる大きな瞳と、揺れる、少し癖のあるセミロングの栗色の髪。

 黒と栗色。

 髪の色が違うことを除けば、優花を視認するなりベッドサイドに怒涛のように駆け寄り、躊躇う様子もなく優花の首ったまに抱きついて頬ずりしてきた女の子は、村瀬玲子。

 間違いなく、優花の三年来の親友だった。

「優花だ、優花だ。このモチモチ、プニプニ、プルル~ン! この感触、間違いないっ。やっぱり優花なのねぇっ!」

――あわわわわっ!