「何、なんだろうねぇ……」
――私の方が知りたいよ。
何かあったと言えば、お祖父さんが亡くなったことくらいしか思い浮かばないけど、それが原因で、髪の毛染めちゃう?
それも、あんなに思いっきり金髪化しちゃう?
おまけに、右耳には銀色のイヤー・カーフまでつけちゃって。
いやぁ、さ。
ちょっとは、カッコイイとか思っちゃったけど。
でも、制服は着崩しているわけじゃなく、きっちりと規則通り。
行動に脈絡がなさ過ぎて、どうも釈然としない。その上、今日の晃ちゃんは、いつもと違う。
髪の色がどうとかじゃなく、こうハイテンションって言うか、底抜けって言うか。
妙にかち合う視線が、物言いたげって言うか。
かなり、変――。
「御堂ってば、齢十八にしてファッションに目覚めた? って、アレがおしゃれとは思えないし、コスプレ趣味はなかったはずだし、まさか高三のこの時期になって不良化? って、それよりもありそうなのは女にでも振られたショック? あのルックスだから、けっこうモテるけど、すぐ俺様な本性がバレて振られるんだよねー。でも、それはいつもの事だから耐性があるか」
「うん、そうだね……」
「うん、そーだねって、優花、そんな身もふたもない。愛しの幼なじみ君なんだから、せめてあんたくらい庇ってあげなきゃ気の毒じゃない」
「うん……って、ええっ!?」
炸裂する玲子の弾丸トークに反射的に相槌をうったら、とんでもないセリフが返ってきて、優花はギョッとする。
『イトシノ』なんて恥ずかしい単語を、さらりと言ってのけるのが『玲子ちゃんクオリティ』だ。
しかしリアルで聞くとその威力はすさまじく、恥ずかしいどころじゃなく『こっ恥ずかしいっ!』。