「家に着いたら、リツにすぐご褒美をあげるよ」

 信号が変わり、車を発進させながら叶は悪戯気味に。

「楽しみにしてて」

 ご褒美。ゾクリとして躰の奥底が否応なしに疼く感覚。
 フロントガラスの向こうを見やったままで、妖しく微笑む横顔。

「・・・物欲しそうな顔はもっといいね」



 

 
 家に着くなり、ベッドに沈められる。
  
 ああもう・・・〝毒〟だ。
 毒に冒されて、叶ナシでは居られない。
 もっと。
 もっと。
 もっと。
 何も考えられないくらいに。
 麻痺させて。
 溺れさせて。

 ほんの後悔すら、忘れるように。